Vol.1【撮影現場はミラクルが起きる】
※この記事は今日からみやもと個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。
前回の投稿からだいぶ日が空いてしまったが、このタイミングで書いておきたいと思ったことがあるので筆を執った。
(厳密には筆なんか執らず、キーボードを叩いている)
先日、2日間に及ぶ「おかやま国際音楽祭2021」のWEB CMの撮影が無事に終わった。
オーディションはこちらの想定以上の応募があったので、可能な限り多くの方に参加してもらえるような方法で選考を行った。
予定になかった提案にも関わらず出演を快諾してくださった皆さまには改めて感謝申し上げます。
ありがとうございました。
「オーディションに落ちた=演技が良くなかった」ではない
応募が多かったということは、それだけ不合格の方への連絡をしなければいけない。
この瞬間は心苦しい。
オーディションを受ける側の経験だってあるし、今後も自分が受ける側になる瞬間はいくらだってある。
だからこそ、その連絡を受け取った人がどんな気持ちになるか多少なりとも分かる。
『私を落としやがったな……二度と劇団みやもとのオーディションには応募しない!!』
と思う方もいるんじゃないかと気になってしまう自分もいる。
(現に自分も受ける側だったら思うはずだ)
『撮影現場や舞台稽古でうまくいかなった時はちゃんと反省して次に活かさなきゃいけないけど、オーディションでうまくいかなかった時は落ち込まなくていいよ』
演劇の世界を志し上京した20歳の頃の、先輩から言われた何気ない一言が今になって理解できる。
全てがそうとは限らないけれど、
演技の良し悪しだけで決まるようなオーディションはなかなかない。
CMやドラマのような映像作品なら尚更で、
演技の良し悪し以外に大事なのは〈イメージ〉だったりする。
「美男美女が良い」という単純なものではなくて、
〈製作者側がイメージする役のビジュアルに近いか〉という点が大きな要素を占めると思っている。
製作側がイメージするビジュアルとは
映像作品において、登場人物設定の際に意識するビジュアルイメージには大きく3つの要素があって、
①顔
②声
③身長(体型)
……だと僕は思っている。
①の〈顔〉はズバリ、見た目のこと。
前述したように美男美女なら良いかというとそうではなくて、製作側がイメージする登場人物のイメージに近いかどうかが一番重要。
『今回の主人公は明るくて天真爛漫な「朝ドラ」のヒロインみたいな人』が製作側のイメージするキャラクターなら、オーディションの動画内で笑顔が印象的な人を探したくなる。
逆に『そんなヒロインをいじめる悪女キャラ』を欲していたら、動画の中でフッと真顔になる瞬間が垣間見えるとそれだけで出演して欲しくなる。
②の〈声〉も同様で、決して作り込んだ声でなくてもいい。
緊張が声にのって震えていたとしても、その声を現場でも出してくれる人はきっと仕事がくる。
『常に心配性で自信がない人』という役があれば常にお声がかかる。緊張も立派な武器になる。
(……僕も緊張しいなので、いつこの役が来てもいい準備はしている)
③が実は一番重要で、映像で見たときのバランスを考慮して選ばれることがある。
平均的な体型の人を求める時もあれば、逆に平均的だったからこそ選ばれない時がある。
恋人や夫婦設定の配役の場合は、互いのキャストの身長差を考慮して選考が決まるときだってある。
持って生まれた個性こそ才能の一部
この3つの要素に共通するのは、
それぞれが〈持って生まれた個性〉であること。
変えようのない、自分だけの個性。
演技力や経験がモノを言う世界ではあるけれど、時に個性は技術や才能を凌駕する瞬間がある気がする。
今回のオーディションでも、現役の俳優さんから演技未経験の方まで出演してもらい、とても刺激的な現場になった。
たった一言の台詞だからこそ確かな技術を持つ俳優さんの技が光るシーンもあれば、
たった一言だからこそ持って生まれた個性で自然な演技を魅せてくれる人もいる。
そんなミラクルが現場で起きるから、どんな立場だとしても関わっていられることが嬉しい。
映像演技、特にWEBやSNSに特化した演技なら、そんなミラクルがたくさん起きる気がしている。
劇団みやもとが、より多くの方の個性と出会える場になれたら良い。
次の企画が楽しみ。
※この記事は今日からみやもと個人の見解であり、所属組織を代表するものではありません。